※2023年11月に更新しました。また本ページにはプロモーションが含まれています。
ノートパソコン買おうと思ってるけど
このライゼンってのはどうなのよ?
ノートパソコンのCPUはRyzenとインテルのどちらを選んだほうがイイのでしょうか?
ネットの情報見てると余計に迷いますよね。
ノートパソコンの
「MacとWindowsどっちが良いか?」問題よりも「インテルCPUとAMD RyzenCPUどっちがイイか?」
問題のほうが気になりませんか??なので同モデル・同スペックPCのCPU違いでどのぐらい動画編集で快適性が変わるのか検証してみることにしましたぞ。 pic.twitter.com/ez48ObUqe8
— おーとふぉーかす@ブログと動画編集でメシを食う (@sonycameralove) July 20, 2021
とりあえずWindowsのノートパソコンを買うと決めた方を次に惑わすのはRyzen CPUです。
そこでCPU以外のスペックが全く同じノートパソコンを使って動画編集の比較検証をしてみました。
用途によってどちらが良いかも解説するのでぜひ読んでみてください。
目次
ノートパソコンはRyzenとインテルのどちらが良いか? 結論
結論を先に言うと、これからノートパソコンをスペック重視で買うならRyzen CPU搭載の製品がオススメです。
一方で用途がネットサーフィンやYouTubeを視聴する程度、使用するソフトは主にoffice系(Excel、PowerPoint、Wordなど)のみ、という方はあまり悩まず予算に合うものを選べばよいです。
この記事を読んでいる方はクリエイターやゲーマーの方でスペックを求める方々だと想定しているので、Intel CPUとAMDのCPUどちらを選んだほうが良いのかをもう少し掘り下げて解説します。
RyzenとインテルCore シリーズの価格比較
Ryzen=安い。コア数が多い。インテルに性能劣る
インテル=ちょっと高いけどいろんなソフトに対応するので安全・安心
私も今までこんなイメージを持っていましたが、だんだん様子は変わってきております。
特に「AMD Ryzenはインテルに比べて安い!」は段々そうでもなくなってきていて、古い考え方になってきております。
場合によってはRyzen CPU搭載パソコンの方が高値になっていることもあります。
CPUの価格比較
デスクトップ用のCPUはインテル・AMDどちらもCPU単体で販売されているので、販売価格は簡単に分かります。
だけどノートパソコン用のCPUについてはAMDが価格を一般公開しておりません。
インテルCPUについては公式サイトで希望小売り価格を明記していますが、パソコンメーカーへの卸値とは大分乖離がありそうです。
例:Intel Core i7-10510U プロセッサー 「希望カスタマー価格」を参考
こうなると価格比較をするにはパソコンメーカーで販売している製品を参考にするしかありません。
パソコンの価格比較

左:mouse X4-i7 インテル Core i7搭載 右:mouse X4-R5 Ryzen 5搭載
BTOパソコンメーカーのマウスコンピューターにはmouse X4シリーズがあります。
14インチのノートパソコンで、同じボディサイズでありながらインテルCPUとAMD Ryzen CPUを搭載したモデルを複数用意しております。
値段も低価格なので売れ筋商品だそうです。
mouse X4 価格表
mouse X4-i7(インテル Core i7-10510U搭載) | 113,080円(販売終了) |
mouse X4-i5(インテル Core i5-10210U搭載) | 104,280円(販売終了) |
mouse X4-R5(AMD Ryzen 5 5560U搭載) | 124,800円(税込) |
2022年12月調べ
mouse X4はグラフィックカードを搭載していないノートパソコンです。
CPUやメモリ、データ容量に若干の違いがありますが、CPUの価格差がパソコンの実売価格に大きく反映されているはずです。
これを見ると、Ryzen 5搭載モデルが最も高く、次にCore i7、Core i5と続いているのを見るとやはりノートパソコンのCPUもRyzenが割安であるということでもなくなっています。
AMDとインテル シェアや性能について比較
インテルとAMDは最新のCPUを交互に発表、発売開始しています。
CPUの年表(2023年直近)
2019年7月~:AMD Ryzen 3XXXシリーズ
2020年5月~:インテル10世代 Core 10XXXシリーズ
2020年11月~:AMD Ryzen 5XXXシリーズ
2021年3月~:インテル11世代 Core 11XXXシリーズ
2022年1月~:インテル12世代 Core 12XXXシリーズ
2022年9月~:AMD Ryzen 7XXXシリーズ
2022年10月~:インテル13世代 Core 13XXXシリーズ
特に最近は両社とも世代更新のサイクルがどんどん短くなってきており、半年に一回はインテルとAMDのどちらかが新しいCPUを発表します。
このためパソコンを買おうと思ったときに、通販サイトを見ると第11世代や第12世代のインテルCPUを搭載したパソコン、またはAMD Ryzen CPUの3XXX、4XXX、5XXXシリーズを搭載したパソコンが同時期に並んでおります。
この中から自分が求める性能を持ったパソコンをコスパよく購入するというのははっきり言って至難のワザと思えるぐらい、商品選びの難易度が上がっているのです。
AMD Ryzen 7XXXシリーズ(Zen4アーキテクチャー)
正式名称を並べて書くと7やら4やらの数字が並ぶため、世代で考えたらよいのか?型番を見たらよいのか?混乱を招くのが最近のAMD Ryzen CPUです。

デスクトップPCのCPUマーケットシェア 画像引用元:PassMark
2020年5月(第2四半期)に発表されたRyzen 5XXXシリーズがインテル第10世代CPUの性能を大幅に超えたため話題となりました。
上のグラフはデスクトップパソコンのCPUマーケットシェアで赤線がAMDで青線がインテルです。
Ryzen 5XXXシリーズが発売されたあたりからシェアがさらに伸びて、これまで一人勝ちだったインテルが大きく後退したタイミングでした。
2年の空白を開けて2022年9月にRyzen 7XXXシリーズも登場し、再びインテルのシェアを奪いつつあります。
つまり一般の方々がRyzenを選択するかどうか迷い始めたのは、実はつい最近の話なのですよ。

ノートPCのCPUマーケットシェア 画像引用元:PassMark
一方、ノートパソコンのマーケットシェアにおいてはインテルのほうが上で、その差も大きいです。
徐々にAMDがシェアを伸ばしていますが、まだまだ主流はインテルでしょう。
第13世代 Intel CPUはRyzen 7XXXシリーズをどう超えた?
ただ今リアルタイムで慌てふためいているのがインテルです。
Ryzen 7XXXシリーズで大きな差をつけられたインテルがその後リリースした第13世代Coreシリーズは引き離された差を埋められておりません。

PassMarkによるCPUのベンチマーク比較 画像引用元:PassMark
これを見た大半の方はRyzen CPUにしようと考えるかもしれませんね。
TSMC(半導体製造ファウンドリー企業)によって微細化が進むCPUチップをAMDがいち早く取り入れ、自社開発にこだわっていたインテルもついにTSMCへチップ生産を委託することにしたようです。
参考情報:米インテルが台湾TSMCの製造技術を採用、半導体業界の盟主が交代しつつある理由|ダイヤモンドオンライン
これが吉と出るのか凶と出るのか私にはよくわかりませんが、パソコン・CPU界隈ではしばらくAMDがインテルのシェアを奪い続けるだろうという見方が優勢です。
2022年はインテルがシェアを取り戻していましたが、Ryzen 7XXXシリーズがこれからどれぐらい奪い返すのか?熾烈なシェア争いは今後も続きそうです。
AMD RyzenとIntel CPUの動画編集時の性能差を検証

AMD Ryzen 5 4600H搭載 mouse X4-R5
話を元に戻して
「RyzenとインテルどちらのCPUを搭載したノートパソコンを買えばよいのか?」
を明らかにするために2台のノートパソコンを使って動画編集を実施してみました。
それぞれのスペックは以下の通りです。
動画編集の検証に使用したパソコンのスペック比較
mouse X4-i7 | mouse X4-R5 |
CPU:インテル Core i7-10510U | CPU:AMD Ryzen 5 4600H |
GPU:インテル UHD グラフィックス | GPU:AMD Radeon グラフィックス |
メモリ:8GB (8GB×1) | メモリ:8GB (8GB×1) |
保存ディスク:M.2 SSD NVMe 512GB | 保存ディスク:M.2 SSD NVMe 512GB |
バッテリー使用時間:12時間 | バッテリー使用時間:10時間 |
14型フルHDノングレア液晶 | 14型フルHDノングレア液晶 |
GPUはCPU内蔵グラフィックスとなりますので、大きな違いはCPUのみ。
Ryzen 5搭載のmouse X4-R5のほうがバッテリーの持ちが短いのが注目ポイントです。
実機によるベンチマーク比較
mouse X4-i7 | mouse X4-R5 |
総合スコア:2993 写真編集スコア:3801 レンダリングスコア:1551 動画編集スコア:3426 |
総合スコア:4886 写真編集スコア:6805 レンダリングスコア:3990 動画編集スコア:3660 |
Core i7の競合は本来Ryzen 7なので、Ryzen 5と比較するのは公平ではないかも..
と思いましたが、フタを開けてみるとRyzen 5の方がベンチマーク値で優れているという結果が出ました(汗)
Premiere Pro 動画編集時のコマ落ち比較
どちらのパソコンもメモリ8GBでGPU非搭載となっており、Premiere Proの推奨環境を下回っております。
このためPremiere ProによるフルHD60Pの動画編集ではコマ落ちが生じます。
全く同じ映像素材を使った場合のコマ落ちフレーム数を比較してみました。
mouse X4-i7

mouse X4-i7+PremiereProでフルHD編集時のコマ落ち 画像拡大
まずはCore i7-10510U搭載のmouse X4-i7です。
SONY α7Ⅲで撮影したフルHD 59.94P(XAVC S H.264 4:2:0)を使います。
字幕やBGMを挿入した2分20秒のシーケンスを最初から最後まで再生した場合に発生したコマ落ちフレーム数は3340フレームとなっています。
mouse X4-R5

mouse X4-R5+PremiereProでフルHD編集時のコマ落ち 画像拡大
次に先ほどと同じ映像素材を使ってRyzen 5 4600H搭載のmouse X4 R5で動画編集します。
ほとんど同じ編集を実施した2分16秒のシーケンスを最初から最後まで再生し、発生したコマ落ちフレーム数は3309フレームとなっています。
これを見る限り、Core i7-10510UとRyzen 5 4600Hの差はベンチタイムほど大きな差はないと思いました。
ところが!次の検証に注目です。
AMD RyzenとIntel CPUのエンコーディングの性能差

mouse X4 2モデルとPremiereProでフルHD書き出し 画像拡大
mouse X4-R5とmouse X4-i7で書き出しテストを実施してみました。
公平な検証となるよう、過去に制作したYouTubeのプロジェクトを使って同じ設定で書き出しを実施します。
書き出したYouTubeの動画:失敗しない動画編集向け【ノートパソコン】の選び方
ハードウェアエンコーディングとソフトウェアエンコーディングを選ぶことも出来たので、それぞれの時間も計測してみました。
書き出し設定は以下の通りです。
・1920×1080 29.97Pのシーケンス ⇒ 1920×1080 29.97Pに書き出し
・ターゲットビットレート 10Mbps
・可変ビットレート(VBR)1パス
書き出しに要した時間
書き出し設定 \ モデル | mouse X4-i7 | mouse X4-R5 |
ハードウェアエンコーディング | 44分16秒 | 35分49秒 |
ソフトウェアエンコーディング | 47分23秒 | 37分57秒 |
結果はRyzen 5搭載ノートパソコン mouse X4-R5の方が10分近く短い時間でエンコーディングが終了しました。
グラフィックカード非搭載なので、ハードウェアエンコーディングができたこと自体驚いたのですが、新しいCPU内蔵GPUはハードウェアエンコーディングに対応できるのでしょうね。
ただしGeForce RTXシリーズで実現できるような時間短縮効果はなく、今回の検証では3分程の時間短縮となっています。
メインのデスクトップPCを持っていて、書き出しをノートパソコンで実施する予定がないならインテルとAMDどちらを選択しても大した問題にならないでしょう。
一方でノートパソコンをメインPCに据えるならどちらのCPUを選ぶか?動画編集者はやはり慎重に考えた方が良さそうです。

書き出し時間10分の差は大きすぎる!
ノートパソコンでインテルかAMDかを決める時の注意点
ここまでの検証結果を見るとRyzenを選びたくなると思いますが、決してインテルCPUの選択がよくないわけではありません。

DAIV Z4でのコマ落ち
例えば第13世代のインテルCPU Core i7-1360Pを搭載したDAIV Z4では4K30PのPremiere Proシーケンスをコマ落ちなくプレビューできました。
実機レビュー:DAIV Z4で動画編集を検証
第11世代のインテルCPUから搭載されることになった新型の内蔵GPU「インテル Iris Xe」は、従来の内蔵グラフィックスの処理性能を大幅に向上しています。
ベンチマークを見るとエントリーモデルのグラフィックカード GeForce MX350とほぼ同等の映像処理能力を持っています。
CPUの性能向上に限界を感じたインテルが苦肉の策で内蔵GPUの性能を引き上げてきているようにも見えますが、薄型ノートパソコンを使っている方にはかなり嬉しい進化です。
参考情報:薄型ノートでゲーミングを可能にするIntel Xe GPUまとめ|PCWatch
グラフィックカードを搭載しない薄型ノートパソコンでPhotoshopがサクサク動けば、クリエイターの負担はかなり減るはずです。
以前にも増してGPU性能に依存するようになったPremiere Pro、After Effects、DaVinci Resolveといったソフトを使う方は、薄型ノートパソコンを選ぶときに内蔵GPUについてもチェックしておいた方が良さそうですね。
ノートパソコン CPUはRyzenとIntelどっちが良い? まとめ
結局どちらを選べばよいか余計に分からなくなってしまったかもしれませんので(笑)まとめます。
この記事のまとめ
✅Ryzen 5はCore i7と互角になる(それ以上かも)のでAMD Ryzenのコスパは高いのは間違いない
✅動画編集・画像編集の用途が多いならRyzen搭載ノートパソコンがおすすめ
✅ネットサーフィンやoffice用途ならインテル・AMDどちらでも良い
✅インテルIris Xeグラフィックス搭載CPUは別格です
今回の検証でPCMARK10の動画編集スコアはパソコンの動画編集性能を確認するには非常に参考になるのを再認識しました。
今後も実機レビューでは欠かさず実施しようと思うので、動画編集用途のパソコンを選ぶ時はぜひ記事を読んで参考にしてみてください!