※2024年8月に更新しました。また本ページにはプロモーションが含まれています。
サードウェーブの第13世代Core i7-13700FとGeForce RTX 4070 Tiを搭載したクリエイター向けデスクトップパソコン raytrek 4CXFiをレビューします。
プロの映像制作者や動画編集者はこれから動画編集用にデスクトップパソコンを買うなら、6Kや8Kの高画質映像にも対応できる製品を手に入れたいですよね。
サードウェーブが開発するクリエイターパソコン raytrekは筐体のデザインが一新し、冷却性能を飛躍的に高めることで最新のCPUやビデオカードの搭載を実現しています。
中でもGeForce RTX 4070 Tiを採用したraytrek 4CXFiが4K~8Kの動画編集に良さげ。
ここではraytrek 4CXFiで4K・8K動画編集を検証してみます。
raytrek 4CXFi
CPU:Core i7-13700F
メモリ:16GB PC4-25600
グラフィックス:GeForce RTX 4070 Ti 12GB
起動ディスク:M.2 SSD NVMe 1TB
292980円(税込)
目次
raytrek 4CXFiを使ってみた感想
raytrek 4CXFiはアルミ削り出しのようなボディに包まれ、パソコンデスクに置くとひと際存在感を放ちます。
4K解像度の動画編集・カラーグレーディングの作業中では冷却ファンの音も静かで、非常に快適に作業を進めることができます。
SONY α1の8K30P撮影データを使ったPremiere Pro動画編集では、残念ながらビデオカードがSONY XAVC HSのコーデックに十分対応していないようで編集できませんでした。(カクカクでした)
(raytrek 4CXFiをレビューしたのは2023年1月でしたので、今頃はもうPremiere Proも対応できると思うのですが。)
LUMIX GH6の4K60P 422 10bitで快適に動画編集可能です。
CPUとビデオカードがモリモリのスペックなので、メモリや起動ディスクのスペックアップをして手に入れたいハイスペックパソコンです。
ドスパラのセーフティサービスがお得です
自作PCユーザーにも嬉しい、ドスパラのセーフティサービスは組立代行サービスの技術料値引きなど、特典が充実しています。
raytrek 4CXFiの仕様とベンチマーク
CPU | インテル Core i7-13700F (16コア/24スレッド/2.10GHz-5.20GHz 内蔵グラフィックス非搭載) |
CPUファン | 空冷CPUクーラー |
マザーボード | インテル H770 チップセット ATXマザーボード |
メモリ | 16GB DDR4 SDRAM(PC4-25600/8GBx2/2チャネル) |
ビデオカード | GeForce RTX 4070 Ti 12GB GDDR6X |
ストレージ | 1TB SSD (NVMe Gen3) |
電源ユニット | 750W 電源 (80PLUS GOLD) |
その他 | マウス・キーボード |
raytrek 4CXFiはインテル第13世代 Raptor Lakeアーキテクチャーの Core i7-13700Fを搭載したデスクトップPCです。
CPUのターボ・ブースト時の最大周波数は5.20 GHz、最大ターボ時のTDP値は219Wでコア数は16コア。
ビデオカードは第4世代 Tensorコアと12GBのビデオメモリを登載し、RTX 3090 Tiを超える性能を持つGeForce RTX 4070 Tiです。
raytrek 4CXFiはサードウェーブのクリエイターブランド raytrekシリーズの中ではハイエンドモデルに位置付けられており、動画編集で使う場合は4K画質の撮影素材にも対応できるパソコンとなっています。
16GBのDDR4メモリと1TBのM.2 SSD NVMe Gen3の起動ディスクを搭載し、CPUとビデオカードのパワーが突出したモデルとなっています。
ベンチマーク
raytrek 4CXFiのグラフィックス性能はPCMARK10のスコアを確認してみても良く分かる通りで、レンダリングとビデオ編集のスコアで如実に高い値を出しています。
Digital Contents Creation:15,727
Photo Editing Score:20,434
Rendering and Visualization Score:19,675
Video Editing Score:9,676
Blackmagic RAW Speed Testでraytrek 4CXFiを計測してみるとCPUは8K30Pまで対応、GPUは8K60Pまで対応とのこと。
過去にレビューしたCore i9-11900K・32GBメモリ・RTX 3070 Ti 8GB搭載のraytrek ZF-TiのPCMARK10スコアと比較してみると値の差が大きいです。
raytrek 4CXFi | raytrek ZF-Ti |
PCMARK10 総合Score:8,775 Digital Contents Creation:15,727 Photo Editing Score:20,434 Rendering and Visualization Score:19,675 Video Editing Score:9,676 |
PCMARK10 総合Score:7,914 Digital Contents Creation:12,494 Photo Editing Score:16,486 Rendering and Visualization Score:17,334 Video Editing Score:6,825 |
動画編集においてどのぐらい変化があるのか検証が楽しみです。
raytrek 4CXFiと近いスペックの他社製品を比較
他社BTOパソコンメーカーの同じようなスペックのパソコンと比較してみます。
メーカー/製品名 | THIRDWAVE / raytrek 4CXFi | Mouse / DAIV FX-I7G7T | パソコン工房 / LEVEL-R77A-LC137KF-UL9X-NORTHEPTION |
CPU | Core i7-13700F | Core i7-13700KF | Core i7-13700KF |
メモリ | 16GB DDR4-3200 | 32GB DDR5-4800 | 32GB DDR5-4800 |
グラボ | RTX 4070 Ti | RTX 4070 Ti | RTX 4070 Ti |
ストレージ | 1TB M.2 SSD Gen3 | 1TB M.2 SSD Gen4 | 1TB M.2 SSD |
販売価格(2023.7時点) | 279980円(税込) | 359800円(税込) | 356800円(税込) |
BTOパソコンメーカーの中でRTX 4070 Tiを搭載した製品を探してみると、この記事を書いている時点(2023.2月)ではまだ数が少ない状況です。
マウスコンピューターやパソコン工房では35~40万円の価格帯で、最新のDDR5メモリやM.2 SSD Gen4でスキのないスペックのパソコンが目立ちます。
その中でもraytrek 4CXFiはメモリを32GBにスペックアップしても他社と比べて低価格です。
価格の面で優位性が高いので、raytrek 4CXFiを選ぶ方はぜひメモリ容量をアップして購入するのをおすすめいたします。
raytrek 4CXFiの外観
raytrek 4CXFi は刷新されたばかりのケースを採用し、サードウェーブの4C(for Creator)シリーズの1モデルとしてラインナップしています。
ATXマザーボードに対応するサイズでミドルタワーの扱いになっており、サイズは幅216mm × 奥行き486mm × 高さ493mmです。
従来のraytrekシリーズは黒塗りでHDDの収納量が多いATXケース(207mm×509mm×440mm)でした。
新しいケースはHDDの収納量(3.5インチベイ)をやや減らし、ビデオカード固定の補強を実現しつつ、CPUファン周りにスペースがある作りになっています。
これはたぶん更新のたびに大型化するビデオカードに対応するためのケースリニューアルだと思います。
サードウェーブではゲーミングパソコンのGALLERIAシリーズが先にケースのリニューアルをしたので、raytrekシリーズはいつ頃するのかな?と待ちわびていたところです。
GeForce RTX 4XXXシリーズ導入と同時にraytrek 4C(for Creator)シリーズがリリースし、CPUやビデオカードの冷却効果を高めています。
パソコンケースの天井はメッシュシートが設置され、取り外すとシート部全面で通風できるようスケルトン構造になっています。
メッシュシートが一枚あることでホコリの除去をしやすく、メンテナンスしやすい上に黒とシルバーのツートンカラーで見た目の良さもアップしています。
電源スイッチやUSBポート・オーディオ端子周りも斜めに加工されているため、机の上に設置する場合でも座ったまま電源を入れやすくなっています。
私の場合フロントのUSBポートにワイヤレスのキーボードとマウスの送信機を抜き差しする頻度が高く、raytrek 4CXFiのケースの形状は使いやすくてとても気に入りました。
電源スイッチは前に倒すとスイッチの天井がLEDライトで光る仕様になっています。カッコイイ。
raytrek 4CXFiのケースはフロントと右サイドにも取り外し可能なフィルターがあり、CPUやグラフィックカードを放熱しやすく、メンテナンスも簡単な仕組みになっています。
また、ケースのカバーを取り外しやすいケースネジは従来のケースから継承し、ドライバー不要でネジを固定できる仕様になっています。
ケースの扉を良く開けるパソコンカスタマイズ好きな方にはとてもありがたいケースですよ。
raytrekは左カバーを外すことでハードディスクやSSD(2.5インチ SATA)にアクセスできるようになっています。
3.5インチの空きベイは2つ。SATA SSDは2枚、ケースに貼り付けるように設置可能です。
3.5インチベイが8つもあった従来ケースと比べるとやや少ない感じがしなくもないですが、大容量のHDDが安価になってきているので2つあれば十分でしょう。
ファイルサイズの大きな4K動画を取り扱うとしても、これだけハードディスクの搭載スペースがあれば安心です。
カスタマイズを重視するクリエイターにとってもraytrek 4CXFiのデザインと収容能力は満足できると思います。
raytrek 4CXFiのCPU
raytrek 4CXFiに搭載しているCPUはインテル第13世代目にあたるCore i7-13700Fとなっています。
第13世代のインテルCPUは第11世代から大幅に性能アップした第12世代Alder Lakeをさらに超える性能となり、インテルはこれを機にAMDからシェアを大きく奪い返しています。
その中でもCore i7-13700Fは基本周波数が2.10GHz、ターボブースト時は5.20GHzの16コア24スレッド、内蔵グラフィックス非搭載のハイエンドCPUです。
PassMarkのスコアを確認してみると、Core i7-13700Fは1世代前のインテル Core i9-12900Fを凌ぐ性能となっており、競合のRyzen 7 7700Xをも超える性能です。
Core i7-12700と比べてみると20%程も性能向上しているのが分かります。
シングルスレッド性能に置いても比較したCPUの中では最も優れたスコアで、Ryzen 7 7700Xとも僅差で優っています。
F落ち(内蔵GPU非搭載)モデルではありますので、ビデオカードのGPU支援を得られない編集ソフトの場合は難があると思います。
検証結果については後述しており、LUMIX GH6の4K動画編集では問題ないパフォーマンスを発揮できています。
ハイエンドデスクトップパソコンを使う上で心配なのがPCケース内の熱です。
Core i7-13700FではTDPが65W~219Wとかなり高い値となっています。
このためCPUクーラーは冷却性能が高い製品を選びたいところです。
raytrek 4CXFiでは標準で空冷のCPUクーラーが採用されており、有料オプションで水冷ユニットに変更できるようになっています。
フロントとリアにケースファンが備わっていて冷却性能は高そうなので、標準の空冷クーラーでも十分だと思いますが、CPUを酷使することが予想できる方は水冷ユニットに変更しましょう。
30分稼働時のCPUとSSDの温度
CPUの温度をOpenHardwareMonitorで計測してみます。
室温20℃の部屋で起動後30分経過したraytrek 4CXFiのCPU温度は35℃となっていました。
試しにこの後、Premiere Proで4K60P⇒4K60Pのソフトウェアエンコーディングで書き出し直後の温度を計測してみると、一番高い温度となったCPUコアでも48℃前後となっています。
長時間の温度上昇でCPUのパフォーマンスが低下しやすい動画編集では、適切なCPUクーラーを選択したBTOパソコンがおススメです。
サードウェーブ raytrek CXFiはCore i7-13700Fの放熱量に対して十分な冷却性能を持っていると言えそうです。
raytrek 4CXFiのグラフィックカード
raytrek 4CXFiのビデオカード(グラフィックカード)はRTX 4070 Tiが採用されています。
GeForce RTX 4070 Tiはゲーマーに人気のビデオカードで、価格はそこそこ抑えられつつ4K解像度のゲーム用として高い人気を誇るRTX 3070 Tiの後継モデルです。
RTコアとTensorコアが1世代更新され、8nmプロセスから4nmプロセスのアーキテクチャー更新で処理能力が大幅に増加したとのことです。
関連情報:NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti 発売情報・ベンチマークレビュー|パソコン工房
RTX 3070 Tiからさらにファンのサイズが分厚くなっており、威圧感もアップ。
パソコンのメインパーツとして存在感を表しており、ケースのビデオカード専用ステーで支えられています。
raytrek 4CXFiのGeForce RTX 4070 TiはPalit製のオリジナルファンモデルです。
PassMarkのベンチマークを調べてみるとGeForce RTX 4070 TiはGeForce RTX 3090 Tiを上回る性能となっています。
重量級ゲーム(特にFPS)を最高画質設定でプレイするとしてもRTX 4080 / 4090を狙う必要もなく、GeForce RTX 4070 Tiで十分ではないでしょうか。
raytrek 4CXFiではGeForce RTX 4070 Tiに接続する電源ケーブルがNVIDIA純正となっており、ケーブルの途中から電源ユニットと接続できるようになっています。
raytrek 4CXFiの起動ディスクとメモリ
raytrek 4CXFiの起動ディスクはビデオカードとCPUクーラーの間に備わっており、M.2 SSD NVMeでPCIe 4.0(Gen4)に対応しています。
標準装備はM.2 SSD NVMe PCIe 3.0で容量は1TBです。
4K以上の高画質で動画編集をする方にとっては余裕のある容量なので+評価です。
グラフィックカードの下のほうに2つM.2 SSDの空きスロットが確認できました。
起動ディスクと合わせて3つのM.2 SSD NVMe 4.0を登載でき、1スロットはSATAの排他仕様があるようです。
SSDの読み書き速度
CrystalDiskMarkでraytrek 4CXFiの起動ディスクの読み書き速度を計測してみました。
シーケンシャルリードは3,409MB/s、シーケンシャルライトは2,757MB/sとなります。
そしてランダムリードは784K、ランダムライトは559Kとなりました。
CPUとビデオカードが強力なraytrek 4CXFiでは動画編集用途でSSDの読み書き速度がボトルネックとなりそうです。
raytrek 4CXFiのメモリスロットは4つで、8GBのメモリが2枚挿し込まれています。
モリモリのスペックを求める方にとってはこのタイミングでDDR5メモリを使いたいところですが、raytrek 4CXFiはDDR4である点も要注意です。
raytrek 4CXFiはメモリスロットに空きがあるため、自分でも簡単にメモリ増設できるので、値下げ傾向のDDR4のメモリを自分で調達して追加するのも良いかもしれませんね。
4K動画編集では32GBが推奨で、ドスパラ公式通販サイトでraytrek 4CXFiを購入する場合は最大128GBまでアップグレードできるようになっています。
raytrek 4CXFiの電源ユニット
raytrek 4CXFiの電源ユニットは750W 80PLUS GOLDを使用しています。
BTOカスタマイズで最大1000Wの電源 (80PLUS PLATINUM)までアップグレード可能です。
ハードディスクを追加するとしても、この仕様なら750Wで問題ないでしょう。
raytrek 4CXFiで動画編集を検証
検証で使用する動画素材はSONY α1で撮影した8K30Pと、α7SIIIで撮影した4K120P・4K60PとLUMIX GH6で撮影した4K60Pのクリップとなります。
検証内容は以下のとおりです。
検証内容
✅8K30P動画編集(SONY α1 XAVC HS LongGOP 8K30P 4:2:2 10bit 520Mbps)
✅4K120P動画編集(SONY α7SIII XAVC HS LongGOP 4K120P 4:2:2 280Mbps)
✅4K60P動画編集(SONY α7SIII XAVC HS LongGOP 4K60P 4:2:2 200Mbps)
✅4K60P動画編集(GH6 MOV LongGOP 4K59.94p 4:2:2 10bit 200Mbps HLG)
動画編集ソフトはAdobe Premiere ProとDaVinci Resolve 18を使いました。
Premiere Proの各種設定
プロジェクト設定ではレンダラーを「Mercury Playback Engine – GPU高速処理(CUDA)」を選択し、環境設定では「H.264 HEVC ハードウェアによる高速処理デコーディング」と同じくエンコーディングにチェックを入れます。
メモリ設定はPremiere Pro用に確保するメモリ容量を最大(13GB)にします。
コマ落ちインジケーターを表示してプレビュー中に発生するコマ落ちフレーム数をチェックします。
なお、検証前にビデオカード(GeForce RTX 4070 Ti)のドライバーは最新のStudioドライバーに更新しています。
ここでの検証はPremiere Proのプログラムモニターの画質設定をフル画質設定で検証します。
SONY α1 8K30P動画編集
Premiere Proにデータを読み込み、8K30Pのシーケンスにα1の撮影データを乗せてみます。
タイムラインを再生してみると、絵が飛び飛びで大量のコマ落ちが発生しているようです。
再生ヘッドをむやみに動かすとすぐに固まります。
再生中のCPU・GPUの動きをタスクマネージャーで確認してみると、CPUの使用率は常時100%で推移します。
メモリの消費量は16GB(15.8GB)のうち15.3~15.8GB(100%)消費しています。
一方、GPUの使用率は2%前後を推移し、ほとんど機能しておりません。
グラフィックカードのドライバーも更新したのですが..
この記事を書いている時点(2023.2)ではGeForce RTX 4070 TiはSONY α1の8Kには十分に対応できていないようですね。
途中でメモリ不足になるようで、上のような警告も表示されました。
とにかくカクカクして、他のソフトを立ち上げようものならフリーズします。スクショに苦労しました。
これではさすがに悔しすぎるので、DaVinci Resolve Studioを使って8K動画編集してみましょう。
DaVinci Resolve Studioで8K編集の設定を確認しておきましょう。
メニューバーの「DaVinci Resolve」⇒「環境設定」を選びます。
次に「メモリー&GPU」のタブを開いて、GPUコンフィグレーションの覧の「GPU処理モード」と「GPU選択」に自動のチェックが入っているのを確認します。
次に「デコードオプション」の「H.264/H.265のデコードにハードウェアアクセラレートを使用」と「NVIDIA」にチェックが入っているのを確認します。
次にプロジェクト(タイムライン)設定です。
メニューバーの「ファイル」⇒「プロジェクト設定」を選びます。
ここではプロジェクト設定画面中のタイムラインフォーマットにある「タイムライン解像度」で「8192×4320 DCI」を選びます。
次にビデオモニタリングの「ビデオフォーマット」で8K UHD 4320p 29.97を設定して完了します。
DaVinci Resolveでも8Kはかなり負担が大きいようで、再生するとかなりカクカクしてコマ落ちしています。
ただし、Premiere Proほどどうしようもない感じではなく、やってやれないことはないという印象です。
CPU・GPUの動きを見てみると、CPU使用率は50~100%を乱高下して推移します。
メモリの消費量は13.7GB(87%)程となります。
また、GPU使用率は10~35%を乱高下しており、Premiere ProよりもGPUが機能しているのがよく分かります。
しかし決して快適に編集できるわけでもありませんので、α1の8K30P動画編集はビデオカードが十分に対応するのを待つしかありません。残念です。
SONY α7SIII 4K120P動画編集
それでは次に8K30Pから4Kに解像度を下げて、Premiere Proで動画編集をやってみましょう。
使用した動画データはSONY α7SIIIのXAVC HS LongGOP 4K120P 4:2:2 280Mbpsで撮影したデータです。
SONY α7SIIIは4K解像度120fpsで内部収録ができるミラーレス一眼カメラです。
今回選んだ画質は4K120P 422 10bitで、色差成分の間引きが少なくカラーグレーディングが前提の映像制作で推奨の記録方式となります。
120fpsの映像は30fpsのシーケンスに乗せて編集すると、4倍のスローモーションで滑らかな映像となります。
ここでは4K30Pのシーケンスに4K120pの撮影素材を乗せて検証します。
また文字タイトル・BGMもタイムラインに追加して再生してみます。
CPU使用率は常時100%前後を推移しており、かなり負荷は大きくプレビューはややカクツキがあります。
GPUの使用率は2%前後を推移し、α7SIIIのXAVC HS 4K120PのデコードもGeForce RTX 4070 Tiは十分に機能していません。
メモリの消費量は14.5GB(92%)となり、Premiere Proに割り当てているメモリ量を超えています。
1分38秒のシーケンスを最初から最後まで再生したときに発生したコマ落ちは2543フレームとなりました。
この様子ではα7SIII XAVC HS LongGOP 4K120P 4:2:2 280Mbpsの動画編集もやや厳しいです。
SONY α7SIII 4K60P動画編集
次にSONY α7SIII XAVC HS LongGOP 4K60P 4:2:2 200Mbpsの撮影データでも動画編集の検証をしましょう。
フレームレートは先ほどの120Pの半分の60fpsでカット編集・タイトルとBGMを追加してシンプルなカラーグレーディングも実施します。
編集が完了した2分50秒のシーケンスを最初から最後まで再生してみました。
CPUの使用率が常時100%前後を推移し、GPUの使用率は39%前後を推移します。
メモリ使用量は11.0GB(70%)になっています。
2分50秒のシーケンスを最初から最後までプレビューしたときのコマ落ちは5697フレームとなりました。
raytrek 4CXFiでSONY α7SIII 4K60Pもかなりのコマ落ちが発生し、編集中のカクツキはかなり起こります。
LUMIX GH6 4K60P動画編集
次にLUMIX GH6で撮影した4K(UHD)59.94P 4:2:2 10bit(MOV)の素材を使って編集してみます。
カメラメーカーが違うと、記録データの違いでデコードの負荷も変わると思います。
CPUの使用率は100%前後の高い数値で推移し、GeForce RTX 4070 Tiは28%前後を推移してします。
2分04秒のシーケンスを再生して発生したコマ落ちフレームは30フレームとなりました。
これならカラーグレーディングの作業を含む動画編集がかなり快適に進めることができるでしょう。
ソニー機と違って、LUMIX GH6のデコード時はGeForce RTX 4070 Tiの動きが良く、その分CPUの負荷が減りコマ落ちの発生を抑えています。
4K⇒4Kの書き出し
次にraytrek 4CXFiで4K60P 4:2:2 10bitのシーケンスを書き出しするときに必要な時間を確認します。
書き出し設定はH.264(mp4)、ビットレート設定は VBR(可変ビットレート)に設定し、ターゲットビットレート50Mbpsに設定して書き出しします。
raytrek 4CXFiではハードウェアエンコーディング(GPU支援のエンコーディング)が使用できます。
エンコーディング設定でハードウェアエンコーディングを選べない場合は、グラフィックカードのドライバーを最新にすることで解決できるはずです。
ここではソフトウェアエンコーディングとハードウェアエンコーディングの書き出し時間を比較検証してみましょう。
2分04秒の動画
Premiere Pro ハードウェアエンコーディング | 2分10秒 |
Premiere Pro ソフトウェアエンコーディング | 4分31秒 |
ハードウェアエンコーディング時のCPUの使用率は93%前後を推移します。
GPUの使用率は91%前後で推移します。グラフィックカードの支援を得るハードウェアエンコーディングでもCPU・GPUともにフル稼働しています。
メモリ使用量は10.2GB(65%)使用しています。
動画の尺は2分04秒で、書き出し時間は尺と同じぐらいの時間で完了しました。
一方、ソフトウェアエンコーディングを選んだ場合はCPUの使用率が常時100%を推移し、GPUは82%ほどで推移します。
ソフトウェアエンコーディングでもグラフィックカード支援がかなり効いていますが、書き出し時間は延長しています。
raytrek 4CXFiではエンコーディング時間も短く済み、連続の書き出しでも時間のロスはかなり少なく済みますね。
raytrek 4CXFiの長所と短所
raytrek 4CXFiの動画編集検証結果はかなり厳しい結果となりました。
GeForce RTX 3090 Tiを超える性能を持つRTX 4070 Tiと第13世代のCore i7なので、8Kはともかく4K120P、4K60Pはもっと快適に動画編集できると思っていたのに非常に残念です。
SONY α7SIIIで撮ったXAVC HSのデータではPremiere Proでデコード時にビデオカードが十分に機能していないように感じます。
一方、LUMIX GH6の撮影データではコマ落ちがかなり少ないので、今後ビデオカードのドライバー更新でSONY XAVC HSで十分に機能するようになるかもしれません。
RTX 4070 Tiは発売開始して間もないので検証のタイミングが早すぎたかもしれませんね。
raytrek 4CXFiの検証をしている時点(2023.2)ではビデオカードはRTX 3XXXシリーズから選んでおいたほうが無難かもしれません。
また、raytrek 4CXFiは4K動画編集をするにはメモリ容量が少ないので、このクラスのデスクトップパソコンを買うならぜひ32GB以上にアップグレードしましょう。
raytrek 4CXFiはこんな方にオススメ!
raytrek 4CXFiのレビュー時から時間が経過していますので、そろそろPremiere Proによるデコーディング・エンコーディングでRTX 4070 Tiが威力を発揮するのではないかなと思います。
ドスパラ通販サイトではGeForce RTX 3XXXシリーズ搭載のパソコンが終焉しつつあり、価格も安くなったraytrek 4CXFiは買い時かもしれません。
なお、raytrek 4CXFiはLUMIX GH6の4K撮影データであれば4K60Pも快適に編集できますので、SONYのXAVC HSの撮影データを使わなければ問題ないかもしれません。
良い検証結果が出なかったのが非常に残念で、最新のスペックを選ぶとベンチマーク通りのパフォーマンスが出ない例の一つとなりました。
購入の判断に役立てて頂ければ幸いです。
raytrek 4CXFi
CPU:Core i7-13700F
メモリ:16GB PC4-25600
グラフィックス:GeForce RTX 4070 Ti 12GB
起動ディスク:M.2 SSD NVMe 1TB
292980円(税込)